ぼくの木馬座始末記の後始末 その1 「ライオンのめがね」
先日、全国の図書館・学校へ出版情報を発信している『子どもの本を選ぶ』という
小冊子に戦後出版された56点にも及ぶ本・紙芝居を調べて考察した
<『ライオンのめがね』を探して>という記事があり、興味深く読んだ…
この記事でいくつか思うことがあったので、これをきっかけに、
<不定期に>といいながら2年以上中断していた木馬座関係の落ち穂拾いを
カテゴリーも改めて再開することにした…
■ 老人と王さま ■
ぼくが読んだ記事にはライオン王にメガネを譲る老人のイラストが5タイプほど出ており、
それによれば時代をさかのぼるほど挿絵の老人は裸に近くなっているようだ。
そういえば、ぼくたちが作った老人の造形は下の絵のように、
ちょうど中間でネグリジェタイプをしていた…
この絵を描いて改めて思うのだが、ぬいぐるみ人形劇の寸法というものは
面白い…人間も、ライオンもゾウもさほど大きさに違いはない…
あたまのサイズだって似たようなもので、違わないのだ
結局どれも人間(の属性)が芝居をしているから気にならないのだろうか…
ゾウの目が三つに見えるのはどうしても必要なのぞき穴があるから…
■ サクマ隊 ■
上の絵に関連してもう一つ…
劇団木馬座となって初期、『クマのプーさん』『ライオンのめがね』前後で
動物の製作に苦戦している時だったと思うが、藤城さんのスタッフが作った
クマのぬいぐるみをメインキャラにした佐久間製菓の宣伝キャンペーンがあった…
当時の営業スタッフがどういうコネからかそのクマを
製作部に持ち込んだのだった…
もちろんぼくたちは舐めるようにぬいぐるみをチェックした…
すると造形はもちろん、使われているボアの品質も格段に良く、
特に手先の表現が過去の動物たちより精緻で肉球まで丁寧に
作り込まれているのには感心すると同時にとてもかなわないと脱力してしまった
(当時はどの動物もライオン王の手のように指が三つに分かれ、
役者が身支度のとき手が出せるよう肉球を模した大きな丸いふたをつけていた)
現物を見た後、そのクマくんがウインクするTVCMも放映されていた…
それはなんだかぼくたちに向かって「やーい…ヘタクソ」といっているようにも
思えたけれど、ぼくたちはともかく目先の公演に向かって形にするしかなかった…
『ライオンのめがね』についてはもう少し続く…