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ぼくの木馬座始末記 16 クマのプーさん 3 ぬいぐるみをつくる

ぬいぐるみは更に問題だった。
  ■ 型紙づくり  ■
 衣装製作のために工業用ミシンが用意された。
ここでITさんが妹の友人のFさんという女性を連れてきた。
Fさんは縫製は専門だが、ぬいぐるみ衣装についてはノウハウがない。
幸いなことに劇団には捨てそこなったボロ雑巾のようなぬいぐるみが二つほど残っていた。
それをばらし、Fさんが型紙に起し、形にすることになった。
 手本にしたぬいぐるみはかなり初期のものらしく、元木馬座のモグちゃんのような
きれいなラインは出ていなかった。
そのためにはマチの入れ方に様々な工夫が必要なのだが、
それを引き継げなかったのは仕方ないことだが残念だった。
 ふくらみを持たせるため役者が身につける通称アンコは
使い方をFさんに説明し、なんとか膨らんだ剣道の胴のようなものができあがった。
 
 ■ 台座を特注 ■
 面に役者の頭を固定する台座も作る必要があった。見本の面についていたモノをばらし、
これを見本にMKさんが溶接業者に高さの違う何種類かの台を特注した。 
動物の頭のサイズが色々でこれに合わせる必要があったのだ。
 台座が頭に接する部分にはウレタン材をシーチングでグルグル巻きにした。
完成した台座にまず両耳を包む位置ににひもを輪に固定し、
その片方に二つ折りしたひもを 取り付ける。
そして長いほうのひもを一度もう一方の輪に通しあご下で結ぶ。
当初は縫いつけていたが、あるベテラン役者の提案でひばり結びに
するようになった。こうするとひもの長さや位置の調整が簡単にできる のだった。
今の面を固定する仕組みはもっと進化しているのだろうが、
当時はほとんど時代劇でおなじみの三度笠のような構造だったのだ。

  ■ 面に生地を張る ■
 ほとんどの動物にはボア素材 が使われた。これは考えた以上に伸縮性があり
簡単に張ることができた。唯一注意するのは生地と生地との接続部分だが、
長い毛足を切りすぎないようにハサミを使わず裏側からカッターで
生地を切って貼り合わせるとほとんど継ぎ目は目立たないので、
我々はすっかり自信をつけて作業ができた。
唯一、ロバのイーヨーは伸縮性のないコール天生地が選ばれ、
しかも凹凸が激しい面だったのでどうしても
あちこちに継ぎ目ができてしまった。
舞台上で見ると多少の継ぎ目は目立たないことがわかった。
但し、仕上げの良し悪しは面をかぶる役者(特にベテラン)の
士気には大いに影響することも後々学んだ。
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 ■ プーさんとケロヨンの共通点 ■
 芝居に登場するのはロビン少年以外は動物ばかり。
服は着ていない。その中でプーさんにベストを着せることになった。
これはあまりに華がないので主役だけはアクセントをつけた意味合いがある。
ちなみにディズニーアニメでもプーさんだけが赤い上着を着ているが、
これも同じ意図からだと思う。
(芝居の途中から他のコブタやウサギたちもベストを着るようになった。)

 劇団木馬座のプーさんのベストはケロヨンの影響を引きずっていた。
ジャンボ編みで柄は白、紫、紺のボーダー…ケロヨンと同じだった…
ちなみにこのベストはITさんの奥さんの手作りだと記憶している。


さて、ぬいぐるみ製作にめどがついたところで小道具づくりを別の場所で開始したのだがこれは次の話…
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プロフィール

楽葉サンタ

Author:楽葉サンタ
元児童劇団員、元図書館員…
リタイアした現在は幼児でも遊べる人形劇を楽しく研究中…
妻一人、子ども三人、孫四人

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