彩時記 浦佐やな
9月の上旬…新潟県の浦佐駅近く、魚野川(信濃川の支流)に
かけられた簗(やな)を見学してきた…
例によって句会のメンバーが設定してくれたツアーへの便乗だ
<浦佐やな>は簗番がいるわけでもなく、
付属の食事処を利用すればどうぞご自由に見学を…
という観光簗だからそれほど鮎がかかるとは思わなかった…
それにしても全く鮎はかかってくれない…
約30分ほどでハヤのような小魚が2匹かかっただけだった…
その分、昼食には鮎の塩焼き、甘露煮、鮎酒…と鮎を堪能した
諦めが悪いので食後にまた簗に行ってみると
まるでミイラのようにやせ細った鮎が一匹かかっていた…
すでに死んでおり、多分その状態で流れてきてかかったのだろう…
さて、目が慣れてくるとスノコのあちこちに5,6センチぐらいの
小魚が挟まっているのがわかった…
スノコの目の隙間から逃れるには大きすぎ、
打ち上げられるには小さいのが不運だったのだ
突然カマキリが水際で暴れているのを見つけた…
スノコのところであがる水しぶきに巻き込まれたらしい…
少し見ているともがきながら何とか自力で脱出しヨロヨロと逃げていった…
カマキリも油断ができない
簗場にあったイスに腰掛け、しばらくボーっとしていると
水音が気になるようになった…水量は結構あるし、流れは簗の
構造物やスノコにぶつかりながら響き合い複雑な水音を奏でている…
こうしたことは現場に来てみないとわからないことだった
歳時記では単に<簗>といえば夏の季語…
<上り簗>といえば春、<下り簗>は秋、…らしい
出不精なぼくにとってはまた一つ貴重な体験ができた…
欲を言えば簗で飛び跳ねる鮎も見たかったけど
それは想像力で補うことにしたい…
<スノコ目に 雑魚往生の 下り簗>