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ぼくの木馬座始末記 21 「ライオンのめがね」 1

昭和47夏の公演は 『ライオンのめがね』 だった…
 春の公演の『クマのプーさん』は相当地味な作品だったのに、
今度もまたかなり渋い演目となった 。
記録によれば 3年前の春に公演していたので、古いスタッフにはなじみが
あったことも取り上げた一つの理由だったのだろうか…
ともかくこの作品もぼくはほとんど知らなかったのだった。
cover
上司のMKさんがこの表紙の本、学研の愛蔵版シリーズの1冊を買ってきた。
みると挿絵が「かっぱ天国」で有名だった清水昆なので妙に和風の雰囲気がある。
ストーリーは老いて気力を無くした動物王国のライオン王が隠遁生活をしている
人間の老人に出会い、めがねを譲ってもらったことで元気を取り戻す。
しかしそれもつかの間、めがねが行方不明となった…
ライオン王のため、玉座を狙うトラ大臣の野望を防ぐため、
動物たちは必至でめがね探しをするのだが…
 物語の最後でめがねはみつかりみんな喜んだ時…
寿命が尽きたライオン王は王子に国を託して亡くなるのだった。
 読み終わってまず思ったのは「動物がたくさん出てきて大変だ…」だった。

 ■ スタッフのこと ■
 演出は岡本愛彦…ぼくら以上の年代にとってはTBSドラマ「私は貝になりたい」の
演出で 有名だ。討論番組の司会をなだいなだと交代でやっていたこと、
森光子の別れた夫だったことなども知識として知っていた。
当時の年齢は40代のはずだが、もっとずっと年上の 印象だった。
非常に温厚な雰囲気で演出をされる方で、今TVなどで大林宣彦監督を見ると声質、話し方が
よく似ていて思い出される。 稽古場にいつも愛妻弁当を持ってくるのでなおさら親しみが持てたのだった。
 ところが岡本さんが連れてきたアシスタント(名前は忘れた)がやたらに深刻ぶる人で
製作サイドでは評判が悪かった。この人の紹介で衣装デザインが出来あがった時、
制作助手MKさんがカンカンになってデザイン画をぼくに見せた。
それは色鉛筆でラフに彩色されており、見方によっては雑な仕事ともいえる。
プーさんの矢車涼のすぐあとだからよけい雑に見えたのではないか。
「こんなものにデザイン料は払えない」とMKさんの怒りは収まらなかった。
このデザイン料を取り損ねた?人は自称「ゲージツ家」愛称「クマさん」
当時唐十郎の状況劇場のポスターを描いて、後にはテレビでもよく見かけるようになった
篠原勝之だった。(不名誉な話題に名前をだしてごめんなさい)

  ■ ライオン王の面 ■
面づくりではまずライオン王に取り掛かった。
raionnousama003_convert_20120206220809.jpg 
矢車涼が描いたポスターの雰囲気を念頭に、油土を成型していった。FRP成型の時
、プーさんでもお願いしたTさんが「いいですねえ…でももっと凹凸をつけて」と
声をかけてくれるのにのせられてついあちこちを修正するのだから主体性が
ないことはなはだしい…原画からはだいぶ離れてしまったけれど、この過程で表現のコツを
またひとつつかんだような気がする。
 主役のライオン役者(ウマさん)からは今回も目を動かす
演技がしたいという意向があり、イーヨーと同じ手法で目玉を取り付けた。
ところが、留め具の強度が足りず、片目が面の中で外れたことがあった。
舞台稽古中に突然片目がぽっかり真っ暗に空洞になったのだからびっくりした。
もっとびっくりしたのは中に入っていたウマさんの方だった。
バネの力も加わり、顔に飛んできたとのこと。
もうちょっとで目を直撃するところだった…と真剣に叱られた。
僕の作品は強度がどうしてもおろそかになるのがまずいのだ。
 面づくりの工夫として動物の鼻先を本革で貼ってみた。効果のほどはどうだったのかその後は
あまり動物を作る機会がなかったので何とも言えない。革は青山の網野という店を愛用した。

 ■ 楽しみな仕事 ■
裏方としては東横劇場の一夏は楽しかった。2幕の始めにドライアイスが舞台いっぱい
漂うシーンがあり、そのために幕間に大量のドライアイスを細かく砕く作業を毎日続けたことが印象的だ。
大きなバットに入れたドライアイスを上手、下手袖に別れてスタンバイ。これに大きなやかんから熱湯を
一気に注ぎウチワであおぐと舞台床一面に幻想的な霧のシーンが生まれる…
そこで緞帳があがるとめがねを失くしたライオン王が登場する。
めがねをゆずってもらった老人に会いに来るシーンだ。
しかし老人はすでに亡くなっており、白骨化していた…
ここで小道具としてどくろが登場する。
1幕で生きている時の老人は比較的大きな面をかぶっているのに
どくろは実際の人間のサイズで作った。理屈から言うとおかしいかもしれない…
でも、もともとライオンと人間が同じ大きさなことに無理があるわけで、
ここでライオンが自分の頭と同じぐらいの巨大などくろを手にしたらかえって変だろう…
 覚えてはいないが、最後まで同じどくろを使ったから、演出家からのダメ出しもなかったに違いない。

 あの夏のドライアイス体験は後年、図書館で子どもたちに科学遊びを見せる時、
こども会の人形劇に上司のポケットマネーでドライアイスを使った時、
その折々に思い出されたことだった。
 そして今はコープの冷凍食品配達についてくるドライアイスがあると、
孫たちはモクモクをリクエストする。ぼくはお湯を沸かし、ビニール袋に入れたドライアイスを
あの夏に入手したナグリ(舞台用かなづち)であの時と同じようにして細かくくだくのだった…
 
 ここでは特に二人の役者さんについて書いておきたいが、長くなったのでそれは次回に…
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No title

「私は貝になりたい」「唐十郎の状況劇場」「篠原勝之」懐かしいです。私も僕ら以上の年代に入るということですな。清水崑も「ライオンのめがね」も相当に懐かしいですが。
また、ドライアイスだのミラーボールだの、素人の人形劇にはあまり使わないものを使わせてもらったのも、今さらながら納得。いい経験をさせていただきました。
フルーツジュースにドライアイスの砕いたのを入れてかきまぜると、シュワッとしたおいしいシャーベットができるので、こちらもお孫さんと作ってみてください。煙も出ますし、なにより食べられるというのがいいのです。

本を読んでいたら次のような俳句をみつけました。

   菊根根分け ひとまづおいて 木馬座へ(たなか迪子)

ちなみに、根分けは春の季語で、春、多年草の新しい芽を株分けすることだそうです。

おらあ三太だ さま

 学研愛蔵版の「ライオンのめがね」は絶版なのですね。
身近な本だったのに、今在住の市を含めて図書館でもう所蔵していない市が
いくつもあるということはやっぱり時代の流れなのか…
同じ清水昆でも「かにむかし」は健在でなによりです。
 
 俳句の情報ありがとうございます。
歳時記を見てみたら晩春の季語のようですので、春の公演に行ったものでしょうか…

フルーツジュースにドライアイスは機会を見てやってみたいと思います。>

No title

「ライオンのめがね」は私が退職する前年の作品でした。これが私の木馬座において携わった最後の大きな作品でした。仮面はこの時一つも作らなかったと思います。すべて生田の倉庫に保管してあった動物達の仮面を使いました。この時衣裳係として活躍してくれたのは桑沢デザイン専門学校卒業の女性二人でした。トラ大臣やペリカンの衣裳は、オンサンタさん達の初演の時のものと大いに変わっていました。
ペルシャの市場のようなアラビア風の場面があったので、私はアラビアンナイトのモルジアナのような化粧を女の面に施したり、SY君は体中に空き缶で作ったコップをぶら下げている水売りの衣裳を作ったり、かなり遊びの要素を多く出して製作しました。
残念ながら、私は岡本愛彦先生と仕事をする機会はありませんでした。
MKさんは、私が入社して「ピノッキオ」の人形小屋で踊る人形の絵を描いていたら、それを見て随分感心してくれました。俳優座の養成所を出た方でしたね。

アヨアン・イゴカー さま

 いつもていねいにお読みいただきありがとうございます。

ねこが自分の見つけてきためがねもどき(自転車)を説明する場面で
「すきとおってるってほんとかな?」と当時はやりのサンスター歯磨きの
CMフレーズを歌って笑いをとっていました。
再演ではきっとこのギャグは使えなかったのでしょうね。

 小道具、衣装などでは本当にアルバイトの方々に助けられらことが多く、
このことは転職してからも同様に感じることが多々ありました。

 初演でも人間の町はアラビア風でした。トラ大臣役の方が素面で悪役代官になり
生で憎々しげなセリフを言いながら演技していました。
悪代官といえば、ライオン王の声は悪役俳優の神田隆でしたが、重厚で威厳のある部分と
ライオン(人間?)の弱さを表現するいい人でした。
ぼくが辞めてからMKさんが制作のポストを離れたことはアヨアン・イゴカーさんのブログで知りました。
劇団が再出発した直後はご自身も色々大変なこともあったとは思いますが、
居場所を得たように生き生きと仕事に取り組んでいたように思いました。
MKさんについてはこの後もふれることがあると思います。
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プロフィール

楽葉サンタ

Author:楽葉サンタ
元児童劇団員、元図書館員…
リタイアした現在は幼児でも遊べる人形劇を楽しく研究中…
妻一人、子ども三人、孫四人

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